格差社会の立役者(1344文字)
「1億総中流」という言葉が崩壊。そして、負け組みにとって厳しい格差社会が現実のものになりつつある。日本人すべてが中流意識をもつことができた黄金時代はなぜ実現したのか?また、なぜ崩壊したのであろうか?
約15年前、日本企業は適正価格より高い価格で国内の消費者に商品やサービスを提供していた。これらの消費者は、海外でも購入することができる国内製の商品を、海外で購入するよりも高い価格で買わなければならず、日本国内の企業によるサービスを、これらの企業が海外で同じサービスを提供するよりも高い値段で利用しなければならなかった。しかし不平を言うものは誰もいなかった。国内より安い製品やサービスの海外価格を知らない消費者には不満を言う理由がなかったからだ。
しかし、成功することに意欲的で、価格差に精通する「勝ち組予備軍」の場合でも不平をあえて言うことがなかった。
日本の消費者が高い価格で国内製品を買い、サービスを利用することにより、企業は高い収益を得ることができる。そうなれば、サラリーマンの給料や賃金も高く設定でき、終身雇用も維持できる。国内で出た余分な利益を利用すれば、国外で製品やサービスをより低価格で「ダンピング」することが可能となる。日本企業が非難を受けても、たとえエコノミックアニマル呼ばれても、ダンピングによってライバルとなる会社を潰し続けてきたのである。そうやって、多数の日本企業が世界規模にまで成長したのだ。
もちろん、この行いは紳士的とは言えないし、これではエコノミックアニマルと揶揄されても仕方がない。先進国政府からの不平や不満が次第に強くなっていったのも自然なことである。米国を主とする先進諸国の消費者は「高品質で使いやすく、安い製品だという理由」で、安易に日本製品にとびついた。皮肉なことに、海外諸国では、この選択が彼ら自身の賃金を下げ、ときには働く場所を奪う結果にもなった。
そのことに気がついた先進諸国の政府は日本企業に敵愾心を抱くようになった。そして、またしても米国を主として先進諸国は日本が行うダンピングへの圧力を強め、日本政府に海外サービスの導入や商品輸入に関する様々な障壁の排除を強く求めた。これに対し日本政府が配慮を行なった結果、日本国内の製造業やサービス業は、海外の同業種と激しい競争を強いられることになった。企業の利益は減り、サラリーマンの給料は切り下げられ、多くの消費者が安い商品やサービスを求めるようになった。このため、これら企業の利益はさらに減少し、終身雇用制が崩壊、リストラが横行といった事態が起こり、それに直面することになったわけである。
これは消費者の行動選択が自らの勤める会社の利益を減らし、自らの給料を下げ、自らの働く場所を奪うという皮肉な結果を招いたということになるのではないであろうか?恐らく間違いないであろう。 そして、商品やサービスを求める消費者側の意識が「自国の将来を見据えたより思慮深いものに」変わらないかぎり、サラリーマンの給料はこれからも下がり続けるであろう。
このような状況では、企業は最低限の労働賃金しか支払わなくなる。なぜなら、労働賃金を下げることが商品やサービスのコストを下げるための要件となっているからである。
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